• 2006年

「犬一揆」-第1話-MADE IN 関西

  • 【開催日】2006年06月18日
  • 【開催場所】danceteria SAZA*E
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犬が「モノ」ではなかった時代

昔から犬は、人間にとって身近な存在、欠かせない存在でした。
時代の変化、人間の生活様式の変化に伴い、人間は、人間の手で犬を改良し、その時代にあった犬をつくり出してきました。
古き時代のこの行動は、非常にゆったりとした流れで行われ、犬と共に働き、生活する為にその犬の性質、性格をよく考えた上でなされてきたものでした。
犬が「モノ」ではなかった時代です。

人間社会が豊かになり、ペットブームが到来すると、人間は犬を「見た目」、「人気」、「ステイタス」…等々により選ぶようになりました。
犬と共に仕事をし、生活し、感動し、支え合う…古き時代のそれは、必要とされなくなってきたのです。

犬が「モノ」になり始めた時代

犬が「モノ」になり始めました。
現在の生活環境、将来…何も考えずに犬を飼う人間が増えています。
人気犬種はどんどん交配させられます。

性質、性格、犬種を無視した強引な交配も増えています。
犬を飼う人間も増えましたが、それ以上に、犬の頭数は急激に増加しているのです。

人気犬種は年々入れ替わり、人気のなくなった犬種、つくり出されすぎてしまった犬達、そして、人間にとって都合の悪い行動をする犬達(原因はほとんど人間側にある)は、行き場を失い、捨てられ、殺される…
こういうシステムが出来上がってきました。

差ッ処分される犬は増加の一途

大げさではありません。
年々、保護される犬、そして殺処分される犬は増加の一途を辿っています。

犬と人間が共同作業(仕事、遊び)をすることで、互いに愛し愛され、癒し癒され、共に学び、笑い、時にはぶつかり合って、また絆を深める。
これこそが犬と人間の最良の関係だと私達は考えます。
飼主としっかりとした強い絆で結ばれている犬達ももちろんたくさんいます。

しかし、その数はごく少数であり、捨てられる犬達、殺処分される犬達、また、その予備軍の数からみれば、ほんのごくわずかなのです。

愛された犬。愛される犬。

あなたの周りを見て下さい。
必ず犬がいるはずです。
ご自分の愛犬、近所の犬、親戚の犬、外出時に出会う犬…。

犬達は愛されていますか?
幸せそうですか?
犬らしいですか?
良きパートナーのもとにいますか?
これは、言葉という伝達手段を持たない犬達が、命をかけて訴えていることなのかもしれません。

人間も犬も、生まれた瞬間から生きる為の学習を開始します。
犬の場合、まず、同胎の兄弟犬達とお乳を取り合い、遊び、やりすぎると母犬や兄弟犬達から叱られ、生きていくには、そして群れにはルールがあることを学んでいきます。
ただ単にルールを学習するのではなく、そこには愛情が存在していることも感じとっていくでしょう。

必要なのは犬と飼い主の愛情ある「教育」

愛情ある教育。
人間と同じです。

これから先、大人になり、死んでいくまでに経験するであろう出来事の予習=「リハーサル」をこの時期に行います。
しかしながら残念なことに、人間はこの時期の子犬を、母犬、兄弟犬達から引き離しがちです。

人間から見て、犬の一生のうちで、この時期の子犬が最も可愛らしく見えるためです。
大切な愛情ある叱り、生きていくために必要な「リハーサル」をしっかり学習する前に、いきなり新しいルールの存在する環境に放り込まれるのです。

犬と人間のコミュニケーション方法は違うと知る

犬は人間のように、話したり、書いたりできません。
目や体の様々な部分を使い、意志を伝えようとします。

しかし、人間はそれを理解できなかったり、もしくは耳を傾けてあげることすらしなかったり…。
子犬を飼い始めると、人間はこの意思疎通が困難な状態に悩んだり、苛々したりすることでしょう。

人間は自分のルール、自分の意志のみを強制的に伝えようとしがちになります。
子犬からすれば、何故、飼主はいつも怒ってばかりなのか、同じことをしても、昨日は褒められ、今日は叱られ…。学習どころではないでしょう。

犬に伝わる愛情ある教育

犬の一生のうちの最初の一年、この時期に、飼主は母犬の代わりをしなければなりません。
愛情ある教育でルールを教え、「リハーサル」の続きを行ってあげなければならないのです。

誰しも最初から正解、ルールを知りません。
最初にしっかりと新しい環境でのルールを教えてあげなければならないのです。

その上でルールを破った場合、母犬同様、強く叱ることができるのです。
「母犬同様」なので、手で叩いたり、マズルをギュッと握ったり…

「リハーサル」されてない叱りは、子犬に理解できるはずもなく、恐怖そのものです。
母犬のもとにいた子犬が叱られる時、首に牙をあてられ、噛まれます。

「叱られる」という「リハーサル」をこのように学習しているのです。
教育の続きを引き受けた飼主は、母犬と同じように、同じタイミングで叱ることで子犬に伝えなければなりません。

牙に見立てた指で、もしくは首輪を使って、首にクッとショックを入れることが、人間ができる最も母犬に近いベストな叱りになります。
(首を絞めるのではありません。また、タイミングが遅くても理解しません)

子犬に何かを伝えたいなら、自分が人間ではなく、母犬となり接さなければなりません。
叱りは怒りではなく、愛情なのです。母犬から受け取った教育のバトンを正しく握り続けることが大切なのです。

人間の都合で犬を判断しない

この犬は賢い、この犬は馬鹿だ…
人間は人間にとって都合のよい行動をする犬を賢いと言い、都合の悪い行動をする犬を馬鹿と言います。

本当はどうなのでしょうか?
犬は動物です。

また、それぞれの犬種は、昔、人間が必要とする目的に応じて改良されてきたものです。
雑種においても同じことが言えます。

祖先を辿れば、純血種同士の交配があったはずです。
人間と共に仕事をする、その仕事に優れるように交配させられる。

それぞれの犬種(雑種も含む)は、人間が人間の手で、その必要性に応じて作り上げてきたものなのです。
走ることが得意な犬、匂うことが得意な犬、吠えることが得意な犬、咬むことが得意な犬。全て人間が作り出してきたのです。

人間は犬種の特性、そしてその犬の性格を無視して犬を飼い始めるようになりました。
かつては人間と共に仕事をすることで、その能力を十分に発揮することができたのですが、今ではその仕事を与えられることもなく、それに代わる共同作業すら人間が気づかないが故に行うことができないことが多いのです。

犬は自分で仕事を探し、自分で仕事を決め、行動するようになります。
その犬自身が決めた仕事、もしくは特性が故に出てくる一瞬の行動が、人間にとって都合が悪い場合、人間はその犬を馬鹿と言ったり、挙句の果てには「こんなはずじゃなかった・・。」と手放したりします。
人間はまず、その犬の特性、性格を知った上で犬を飼うべきなのです。

1頭1頭の性格と性質と向き合う

人間の主観を捨て、1頭1頭、それぞれの性格、性質をみてあげてください。
犬を好きになろうとするのではなく、その犬をよく知ろうとしてみてください。
そうすれば、自然と愛情が湧き、犬もあなたを好きになります。
お互いをよく知ろうとすることが最も大切なのです。

犬一揆の開催目的

<犬一揆>は、捨てられる、殺処分される犬を作らないようにするにはどうすればよいのか?
人間には何ができるのか?
を考えていただきたく、また正しい知識を広めていただきたく開催しました。

犬の性質、性格を見極め、母犬から譲り受けた教育のバトンをしっかり握り、リハーサルを行い、ルールを正しく教え、叱り、自立をさせる。
犬自身をよくみること、犬をよく知ろうとすること。
まず、これだけでも伝え、広めていきましょう。少しずつ、少しずつですが、何かが変わるかもしれません。

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